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吉本敏洋氏に敵認定されたRuby開発者まつもとゆきひろ氏(3)

吉本敏洋氏に敵認定されたRuby開発者まつもとゆきひろ氏(1)
吉本敏洋氏に敵認定されたRuby開発者まつもとゆきひろ氏(2)
の続き。

この件につき、はてなブックマークでは悪マニBeyondこと吉本敏洋氏に対する批判的な意見が寄せられている。


ネット内で(それなりの)影響力があると思われる人物が宗教と絡んだ瞬間に、恩人であろうと何だろうと噛みついて、「有名人の闇を暴いた英雄」だと思ってもらおうという吉本敏洋氏の魂胆は別にして、ひとまず吉本氏の主張が「ハズしてる」ことを改めて見ていきたい。

まず、吉本氏の言葉遣いである。以下、いずれも吉本氏の今回の議論の中での発言だ。

  • MLに投稿した動機についてですが、Matz氏の日記にコメントを行ったとこ ろ、予告もなしに一方的に削除されたため、「Matz氏はオープンな議論を行う気 が無い」と判断したからであり、公平性を担保するためです
  • 管理者側の方々と議論しても勝てるわけないし、勝つつもりも無い
  • 批判されて感情的になるのは分からないでも無いですが
  • とか言われても、意味不明です。 
  • モルモン教を批判すると言うことはすなわち、「血の贖罪」によって殺される可能性も無きにしもあらずと言うことです。それでも、匿名で参加しないのは、反カルトと言う「立場」を明らかにしなければ、卑怯だと思うからです。こちらは「モルモン教は利益を受ける」と主張しているのですから、最低限モルモン教徒かどうか明らかにしていただかないと、どう対応してよいのか分かりません。
  • 何を持って「根拠が乏しい」と言われているのか謎です。単に想像力等が足りない方なのか、それとも団体の関係者だから、そう言っているのか区別が付きません。
これらの発言は、「クレーマー」としては正しい物言いなのかもしれないが、特に太字にした部分は「議論」としては非常に挑発的かつ感情的なものであり、到底冷静な議論に結びつく言い方ではない。これが、ナチュラルに「頭でっかちの嫌味」を連発する吉本氏のいつもの物言いである。

次に、氏の挙げた「問題点」とやらを検証する。

Matz氏が日記において、自らが所属するカルト宗教
団体である「モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)」の宣伝・広告活動
を行っていることの是非についてです。
 問題提起の段階で二つの問題がある。

  1. 「モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)」は「カルト宗教」なのか。
  2. まつもとゆきひろ氏が日記で記載したことは、同教団の「宣伝・広告活動」なのか。
これは二点とも、すでに見たように、非モルモン教徒であることを宣言した人たちによって完全否定されている。

そもそも、吉本氏は「宗教団体、しかもカルト宗教とみなされることが多い団体」であるからダメと主張している。カルト宗教の定義もできず、またモルモン教がカルト宗教であるという理由も明確に示さず、ただ単に「みんながそう言ってる」としか述べていない(しかも、「みんなが言ってるんだから正しい」→「それを否定するのはモルモン教徒だろお前」という、誤った論理に走っている)。

1については、「なかむら(う)」氏が指摘しているとおり、「現在の末日聖徒イエス・キリスト教会はカルトではなかろうと私は判断しています。ユタ戦争のころまでなら私でもカルトだったと判断するんですけど。」 という見解は妥当であろう。ちなみにユタ戦争はモルモン教団とアメリカ陸軍の内戦で、1857年、今から150年以上前のことである。(ユタ戦争 - wikipedia

アメリカ発祥の宗教なのでピンと来にくいが、吉本敏洋氏が述べているのは要するに、僧兵を擁した比叡山延暦寺や、戦国時代に圧倒的軍事力を誇った一向一揆の浄土真宗を「カルト」と決めつけているのと同様の、乱暴な議論なのである。

第二に、まつもとゆきひろ氏は日記で、教団の名前も出さず、特殊な教義用語も持ち出さず、「私たちの行いが教会やキリスト教を代表していることになる」という、「何らかの宗教の真摯な信仰者」としての感想を述べているに過ぎない。これをもって「宣伝・広告活動」というのは、二重の意味で論理破綻である。教団の名を出さない(吉本氏が嫌がらせのように教団名をコメント欄で書かない限りわからない)ものがそもそも「宣伝・広告」に当たるのか。また、このような内省的な言葉が「宣伝・広告活動」に当たるのか。単なる信仰心に基づいた記述であり、勧誘さえも見られない。さらに、子女の行きすぎた思い込みを咎める内容でもある。

このように、吉本敏洋氏の論点は、前提からして完全に崩れ去るのである。

吉本氏の批判をもう一度引用しよう。
 a) rubyistドメイン上で、
 b) メイン開発者が、
 c) カルト宗教団体とみなされる事の多い団体の
 d) 宣伝活動を、
 e) たとえ日記と言う形においてでも行うことは、
 f) Rubyの発展にとっては阻害要因にしかならない。
と思います。
再度の投稿で吉本氏は「b)作者」と訂正している。

a)は、rubyistドメインがrubyの公式のものではなく、まつもとゆきひろ氏の私的なドメインであることが明らかにされている。吉本氏はこれにも難癖をつけるが(後で検証する)、 rubyの作者とわかるところで宗教的な話をするな、というのでは、それこそ表現の自由・信教の自由の侵害にほかならない。

b)は、まつもとゆきひろ氏がモルモン教の信仰を有していることそのものを批判しているといえる。ただ、まつもとゆきひろ氏が仮にモルモン教をやめたとしても、吉本氏は批判し続けるはずだ。「元モルモン教徒という珍しい経歴の持ち主のまつもとゆきひろ氏」と書いて揶揄し、まつもと氏の発言には価値がないと宣伝し続けるはずである。吉本氏は、「人の考えは変わらない」という恐るべき思想の持ち主だからである。これは、このブログの他の記事を読めば理解されるはずだ。

c)はすでに上で批判した。「みなされる事の多い団体」であるかどうかで判断するというのであれば、事実がどうかという検証を放棄し、実態を見ることを拒絶したと見なされても仕方あるまい。

d)も上記で批判したとおり。「宣伝活動」の定義が曖昧である。まさか、「まつもとさんはrubyの偉い人である→宗教的な話を書いていた→なんだか素敵だからまつもとさんの教会に行ってみよう→モルモン教に入信」とでもいうような「風が吹けば桶屋が儲かる」的な誤った論理に基づいて「宣伝だ!」と言っているのではないと思うが、もしそのように主張するのであれば、実際にそのような意図があったのかどうか、あるいはそのような入信者がいるのかどうかを検証する方が先だろう。

e)は、仮にa~dが吉本氏の言うとおりであったとしても、表現の自由の否定である。表現の自由を守るために戦っていると自称する人物が、他人の表現の自由を平然と踏みにじるのは、大いなる矛盾であり、根本的な自己否定であり、人として許される行為ではない。この「自己正当化」と「他者の絶対的否定」は、吉本敏洋氏の行動の根幹をなしている。

f)については、すでにRubyユーザーたちによって完全否定されている。そもそも、吉本氏がコメント欄やブックマーク等で「まつもとゆきひろは、キリスト教徒といいながら、実態はカルト教団モルモン教の信者、カルト信者ですよ!そんな人が、Rubyの名前の入ったドメインで、日記と称して教団の宣伝活動をしていますよ!危険ですよ!Rubyから排除しましょう!」と英雄気取りで叫び回らなければ、モルモン教の宣伝であることすら気付かれず、多くの人がそのような宗教的日記をさらりと読み飛ばして気にも留めなかったはずだ。

ある意味、吉本氏によるマッチポンプによって、「外国発祥のキリスト教系新興宗教の信者であることを表明もせず、ただ私的ドメイン上の日記に書いていただけ」のまつもとゆきひろ氏が、「自らの名声を利用して悪徳カルト宗教団体の宣伝行為を行う危険人物」に仕立て上げられたのである。

この吉本氏の行為のどこにも、正義はなく、正当性もない。この吉本氏の主張からわかるのは、吉本氏が短絡的な決めつけに基づいた嫌味な他者否定をする人だ、ということだけである。

このような破綻した言いがかり、粘着に対して、Rubyユーザーたちがこぞって「それは違うでしょ」と声を上げたのも当然といえば当然であり、それはすでに引用した部分で理解されるはずだ。それに対して、「批判されて感情的になるのは分からないでも無いですが」((C)吉本敏洋)、もう一度メーリングリストに意味不明かつ感情的な反論を展開したのも、すでに見たとおりである。

次回は、この「反論」について考察し、まつもと氏への粘着攻撃事件の締めくくりとしたいと思う。

1 件のコメント :

  1. 家宅捜査が入った件、ぜひともフォローして頂き、全貌を明らかにして頂けると嬉しいです。

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